2010/08/16

1日目-12 燕岳頂上からの山の眺め

燕岳の頂上は狭い。10人も上がれるだろうかと思うくらいだ。そのため祠も道標もない。あるのはこんな三角点なので、頂上を示すものと共に記念撮影するということができない。
三角点は頂上を示すものだと思っていたら、標高の基準になるもので、頂上を示すものではないということが何時だったか明らかとなり、測り直すと頂上が少し高くなったということがあった。
燕岳の頂上には、頂上であることを示すものとしてこんな小さな石が埋め込まれている。2763mで、「山と高原地図」では2762.9mとなっている。
この向こうは人の高さ程度低くなっているので、下におりて顔を近づけてこの石と記念撮影することはできる。
記念撮影のためにだけ頂上にいるのではない。燕岳頂上からは360度視界が開けているため、写真を撮ったり、かつて登った山などが見えるかどうか確認するため、押し合いへし合いしながら長々と狭い頂上にいるのだ。


東を眺めると、合戦尾根を登る時に見えた遠くの山々はもう雲で覆われている。たぶん山の名を記したあたり。
南には槍穂高が見えた。前穂高(3090m)・吊り尾根・奥穂高(3190m)・北穂高(3106m)。奥穂と北穂の間には涸沢岳(3103m)があり、北穂からえぐれたような大キレット、続いて南岳(3033m)・中岳(3084m)・大喰岳(3101m)・槍ヶ岳(3180m)と3000mを越す峰々。
槍ヶ岳からは東鎌尾根・北鎌尾根・西鎌尾根が出ている。西鎌尾根の向こうには笠ヶ岳(2896m)が少し見える。
燕山荘から続く尾根は明日歩くルート。大天井岳(2922m)・東天井岳(2914m)・常念岳(2857m)。東天井と常念の間にある横通岳(2767m)は、燕岳頂上からは東天井の右に見える。
西側には、西鎌尾根から続く樅沢岳(2754m)・双六岳(2860m)・三俣蓮華岳(2841m)・奥にあるが頂上だけ見える黒部五郎岳(2840m)・鷲羽岳(2924m)・ワリモ岳(2841m)・赤岳(2910m)・水晶岳(2966m)・野口五郎岳(2924m)・三ツ岳(2845m)。
薬師岳(2926m)が見えるのではないかと期待したが、その東側のほぼ水平な尾根にも見える峰々に阻まれて、頂上すら顔を出せないでいるらしい。見えるとしたら水晶と野口五郎の間あたりかな。
そしてすぐ北には北燕岳(2723m)があった。東沢尾根に続く一番北が北燕岳と思い込んでいた。
北側の峰々は、三ツ岳から烏帽子岳(2627m)・南沢岳・不動岳・舟窪岳から針ノ木岳(2821m)・蓮華岳(2799m)と連なっている。その奥には龍王岳(2872m)・立山(3015m)、そして少し見えてきた剱岳(2998m)。蓮華岳と餓鬼岳(2647m)の間には後立山連峰。鹿島槍や白馬は、遠いのと、雲のためによく見えない。
三ツ岳と烏帽子岳の間には五色ヶ原が確かに見えている。龍王岳・鬼岳(2750m)・獅子岳(2714m)・鷲岳(2617m)・鳶山(2616m)は立山カルデラを囲む山々。立山室堂から薬師岳への縦走路となっていて、鷲岳・鳶山の東斜面が五色ヶ原だ。
とんがった烏帽子岳を望遠で撮影すると、五色ヶ原山荘や、五色ヶ原を散策できる木道などがぼんやりとわかる。奥大日岳(2605.9m)・国見岳(2620.8m)は正確ではありません。
鷲岳と獅子岳の間には佐々成政が越えたというザラ峠。これも見えているのかどうか。
四方の山を眺めているうちに槍の穂先はまた隠れてしまった。


※参考文献
「山と高原地図37 槍ヶ岳・穂高岳」 (2010年 山と渓谷社)
「北アルプス燕岳頂上大パノラマ360°」(燕山荘、山の名前と標高はほぼこの長~い写真を参考にしました)

「BIRD'S-EYE-MAP 立山・剱岳」(編集塚本静雄 1995年 北海道地図株式会社)