白馬大雪渓を1時間強歩いて、ようやく土が見えてきた。その時はアイゼンをはずして良いのかとか、落石は大丈夫かということしか頭になかったが、後になって、この土(あるいは砂礫)の盛り上がりはモレーンではないかと思うようになってきた。

95年の秋、南アルプスの仙丈ヶ岳に登った。小仙丈から仙丈ヶ岳の縁を通って頂上(3033m)に着いて内側に見えるのが「藪沢カール」。避難小屋の近くに盛り上がったのがモレーンだ(下2枚の写真の矢印)と、八ヶ岳が雨で急遽登ることになり買った本『南アルプス仙丈ヶ岳案内』に書いてあり、はっきりとわかるモレーンを見ることができたと嬉しかった。

モレーンというのは、氷河の侵食によって削り出された岩石の積み重なりで(略)この三日月モレーンは、カールが作った半円形の急な岩壁から岩石が崩れ落ちて、急な雪渓や雪田の上を滑り落ち、雪渓のなくなったところに岩石を積み重ねて作った堤防状の地形、プロテーラス・ランバートだったのですとあり、がっかりした。

下の写真で言うと、右上からこちら側まで稜線を歩いてきた。遠くからみるとどっしりした山塊に見える薬師岳(2926m)とは思えない痩せ尾根だが、そのほとんどの位置からこのS字モレーンを見ることができる。

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※参考文献
「南アルプス仙丈ヶ岳案内」(上伊那教育委員会 1995年)
「山が楽しくなる地形と地学」(広島三朗 1991年 山と渓谷社)