2010/09/01

3日目-1 常念小屋から日の出

3時頃だっただろうか。顔が光に照らされ目が覚めた。それは月の光だった。月に誘われて起き上がり、窓の外を眺めると、雲一つない夜空の下、槍ヶ岳から北穂まで、煌々と照らしていた。星も幾つかきらめいていたが、月光に遠慮して控えめだった。これなら日の出は大丈夫、安心して寝袋にくるまった。
4時を待たずに出発の準備をし始める音で我々も行動開始。敷き布団と寝袋を積み上げるともう4時半。
まだ暗いと思っていた外はもう空が白んでいて、山々はほんのりと赤らんでいる。モルゲンロート?日の出は4時45分のはず
南岳小屋・北穂高小屋は見えなかったが、槍ヶ岳山荘やヒュッテ西岳は灯りがともってよくわかった。
防寒にカッパを出す時間を惜しんで外に出る。常念小屋は乗越のくぼみにあるので、小屋を出たところからは日の出はよく見えない。
東の方に急ぐとまだ太陽は出ていなかった、4時45分。
まだ太陽が出ていないと、出そうなところを見るのだが、背後の槍穂高など所を見てしまったりする。そうして日の出の瞬間を往々にして見逃してしまう。あっ、太陽が顔を出した、4時49分。
肉眼では昨日の燕山荘での日の出と同様に、雲の下から出てきたように見えたが、パソコンで見ると山の背後から出ていることが判明した。
これがどこの山か『百名山パノラマ案内』の常念岳からのパノラマを開くと、予想した志賀高原などではなく、黒姫山のようだ(戸隠・妙高は正解かどうかわかりません)。
もう半分出た。
太陽は赤く見えるのに写真では黄色く見えるのが残念。
全部出た、4時52分。
常念岳の際には八ヶ岳がうっすらと見えている。
常念岳もモルゲンロートに染まっている。足元の石ころでさえ赤く照らす太陽。
我々は人の少ないところに陣取ったが、乗越では学校登山で泊まっていた地元の中学生たちが日の出を見ていた。見終わって小屋の前に集合している。
槍・穂高はバラ色というよりも赤紫っぽく色づいている。
槍はそれほど染まっていないように見えたが、単体で撮ると他の峰に負けずに染まっていた。
十六夜の月は北穂高の上の方に留まって、なかなか沈まない。
ほとんど丸い月でした、4時57分。
※参考文献
「百名山パノラマ案内」(白山書房編 1999年 白山書房)