やっとそのケルンに着いたら9時42分、もう遅れだした。



ところが歩き始めてすぐに、昔山男の紐がほどけそうになり、またやり直し。もうはるか向こうに列をなして歩いている人たちが気になる。



猿倉で入山届けを書いている時、係の人が「大雪渓では落石があるので、休憩する時も上を向いているように。両側から落ちてくる」と言っていた。その上に、雪渓に落ちた石が再度滑り落ちる場合は音がしないそうだ。落石が怖い。
石は予想以上に雪の上にあった。ベンガラの道の上にも石は落ちていた。これらは今年の落石だろう。
それまでの石はそれほど大きくなかったが、落石というよりは落岩と呼んでもいいくらい大きな石もあった、10時5分。

その通り冷たい風が吹いた時は涼しいが、冷たい風と暖かい風が交互にやってくる。多分太陽に熱せられた岩を吹き下りた風が暖かいのだろう。ガスも晴れたかと思うと一瞬で視界がなくなるほどかかったりする。
後ろを振り返ると、意外と高度を稼いでいるのがわかる、10時16分。

アイゼンの思い出