2006/08/26

第1日 6 葱平

板の橋を渡ると大岩の下のベンチからにぎやかな声が聞こえてきた。ここからすぐに右に折れ、流れのへりを登って、向こうの岩の上にしゃがんでいる人の背後を回っていく。 
その人の後ろを通りながら「葱平はどこやろ?」と言うと「 この辺りが葱平ですよ。平たくないんですがね」とその人が教えてくれた。自然観察員か監視員と書いた腕章をつけていた。大岩の下の人たちはすぐには出発しそうになかったので、ついでに「どこか休めるところはありますか?」と聞いた。「狭いですが、ところどころあります。良かった。少し登ると目立たないベンチがあるのに気付いた、お昼にしょう、11時57分。ここが葱平、予定では11時40分着なので20分ほど遅れている。
お昼は袋ラーメン、我が家の定番だ。乾燥野菜は忘れてきたが、カットわかめを昔山男がどっさり入れてくれたので、塩分の取りすぎにはならないだろう。
食事休憩は40分みているが、45分かかってしまった。更に予定より遅れそうだ。何故時間をそんなに気にするのか。それは午後2時までに山小屋に入るというのが夏山の鉄則だからだ。それでなくても、白馬岳山頂を往復して山小屋に戻るのが14時20分と、2時を過ぎる予定になっているのだ。
何故2時かというと、落雷の心配があるからだ。いうと、落雷の心配があるからだ。特にこのような晴天の日は午後の雷が怖い。
葱平は平らでないどころか、かなりの急登だった。ガイドブックに「赤っぽい岩」とあるのがこれだろう。赤っぽいとわざわざ書いてあるが、なるほど他に同じような色の岩は見あたらない。なにやら石段(石を金網に詰めたもの)が積んであるが、特に誰も岩の上に乗っていない。下の人たちは、どうもこの赤っぽい岩をバックに記念写真を撮っているようだ。上を見てもかなりの傾斜だ。葱平ではなく葱坂にしてほしい。振り返ると杓子岳が姿を変えていた。指を突き立てているような形の奇岩が見えるが、天狗菱とはどの岩を言うのだろうか。それにしても稜線から見える杓子岳からは想像も付かない姿だ。
岩がごろごろしていたが、岩山になってきた。急登は続くが、青空で気分は軽い、13時9分。
       この区間の花々