あまり視界もきかないので、頂上で休むのはそこそこにして、山小屋に行こう、13時50分。



その上起きあがらずに「先に行って受付を済ませといてもらえますか」。こら、何を言っているのだ。これくらいの目と鼻の距離のところでも、別行動して遭難する人だっているのだ。もう14時8分、何時になったら着くのだろう。

山小屋の宿泊用紙には大抵出発地と翌日の目的地を記入することになっている。記入していて思い出した、昨日猿倉荘の入山届けは縦走にしていたのだ。それで、疲労のため下山するというのは格好悪いので「扇沢まで縦走するつもりで入山届けを出しましたが、昔山男が足をくじいたので、明日は八方尾根から下山します」と言うと「大丈夫ですか?」と心配してくれた。
ついでに天気予報を聞くと「台風が西にそれて、明日は晴れになりました」とのことだった。

この山小屋の最大の欠点は水のないことだった。前回八方尾根を登ってきた時は微かに色の付いた沸飲可の水か高いペットボトルの水を売っていた。登山者が「天狗山荘まで行けばいくらでも水がある」と話しているのを聞いて、手持ちの水で天狗山荘までもつので買わなかった。
昨日の解説員は唐松頂上山荘に水はあると言っていたので、天狗山荘の雪田の雪解け水をたくさんは補給しなかった。何故かというと、唐松頂上山荘が水がなかったという記憶と、五竜山荘で水を補給することができないかも知れないという心配から、多くのパウチタイプのドリンクに、日数分の牛乳の小パック、そしてたくさんの野菜ジュースの小パックをリュックに入れていたので、かなりの重量を占めていた。それが疲れの出る一因かも知れないと思ったからだ。
そして今回は、自動販売機でペットボトルの水を買うだけになっていた。洗面所の水は顔や手を洗うくらいなら良いが、歯磨きには使うなと書いてあった。歯磨き用の水は1L150円で売っていた。あと1Lくらいは雪田で水を補給すれば良かったと思った。




