2006/09/15

第2日 15 唐松頂上山荘

あれが今日宿泊する唐松頂上山荘だ。建物の下の方に何か作っているらしい。そのせいか、テント場は斜面のはるか下の方に移動したようだ。
あまり視界もきかないので、頂上で休むのはそこそこにして、山小屋に行こう、13時50分。


すっかりガスってしまい、頂上山荘が見えない。遠くなったような気がする。
初めは頂上山荘が見える側を歩いていたのに、いつの間にか反対側になっていた。地図では唐松岳頂上から頂上山荘まで10分のはずだが、頂上山荘に近づいたようには思えない、13時57分。
やっとガスが晴れ、頂上山荘が見えた。安心したのか、昔山男はすぐ先の一段低くなったところでバランスを崩してしゃがみ込んでしまった。
その上起きあがらずに「先に行って受付を済ませといてもらえますか」。こら、何を言っているのだ。これくらいの目と鼻の距離のところでも、別行動して遭難する人だっているのだ。もう14時8分、何時になったら着くのだろう。
 頂上山荘の建物までの斜面にはコマクサが咲いていたが、「ああコマクサや」と眺めただけで通り過ぎてしまった。そしてやっと着きました、14時11分。

山小屋の宿泊用紙には大抵出発地と翌日の目的地を記入することになっている。記入していて思い出した、昨日猿倉荘の入山届けは縦走にしていたのだ。それで、疲労のため下山するというのは格好悪いので「扇沢まで縦走するつもりで入山届けを出しましたが、昔山男が足をくじいたので、明日は八方尾根から下山します」と言うと「大丈夫ですか?」と心配してくれた。
ついでに天気予報を聞くと「台風が西にそれて、明日は晴れになりました」とのことだった。
ここも個室を予約していた。剱の見えない安い方だ。部屋も寝具も新しかった。6畳で最大6人泊まれるようだ。ここの布団は幅が広くゆったりと横になれた。

この山小屋の最大の欠点は水のないことだった。前回八方尾根を登ってきた時は微かに色の付いた沸飲可の水か高いペットボトルの水を売っていた。登山者が「天狗山荘まで行けばいくらでも水がある」と話しているのを聞いて、手持ちの水で天狗山荘までもつので買わなかった。
昨日の解説員は唐松頂上山荘に水はあると言っていたので、天狗山荘の雪田の雪解け水をたくさんは補給しなかった。何故かというと、唐松頂上山荘が水がなかったという記憶と、五竜山荘で水を補給することができないかも知れないという心配から、多くのパウチタイプのドリンクに、日数分の牛乳の小パック、そしてたくさんの野菜ジュースの小パックをリュックに入れていたので、かなりの重量を占めていた。それが疲れの出る一因かも知れないと思ったからだ。
そして今回は、自動販売機でペットボトルの水を買うだけになっていた。洗面所の水は顔や手を洗うくらいなら良いが、歯磨きには使うなと書いてあった。歯磨き用の水は1L150円で売っていた。あと1Lくらいは雪田で水を補給すれば良かったと思った。

17時の夕食。この山小屋はおかずを盛った皿がテーブルに並んでいて、ご飯とみそ汁、お茶は各自で入れるという、一般的な配膳だ。おかずは手前から塩鯖・肉団子・サツマイモ・にんじんとゴボウのサラダ・オレンジ・里芋・昆布巻き・山菜・高野豆腐の卵とじ。味もそこそこ良かった。食後部屋で休んでいたが、私だけ外に出てみた。柔らかい夕焼けが剱の向こうに広がっていた、18時53分。
唐松岳と不帰嶮がすっきりと姿を現している、18時56分 不帰嶮のアップ。3峰が真ん中寄り、右は2峰の南峰だけか、南峰と北峰が重なっているのか、よくわからない。山小屋のスリッパを借りていたので建物の外をうろついたくらいだったが、牛首や唐松に登って夕日を眺める人たちもいた。牛首から戻って来た人が「八ヶ岳まで見えた」と言っているのを聞いて、もっと早く、ちゃんと靴をはいて外に出れば良かったのにと思った。