8時2分、再び歩き始める。標高が下がるとハイマツの丈が高くなる。むこうの緩やかな尾根がかすかに見えている。
この道を下りていくと、その下に石垣のように積み重なった斜面が見えてきた。ここだけ石の色も違うし平たく石が並んでいる。
たくさんの人が好き勝手に歩いたために広くなった、と言うより荒れた登山道。その中にかろうじて生き残ったチングルマの株を写す。雪渓の残りか、池の底のようなところに雪が残っていた。ここを取り囲んで道がめぐっている。
かすかに向こうが見える。老眼を凝らすと大きな雪渓のようだ、8時14分。なだらかな道を歩いていると、調子が出てきたところで「花があった」とほぼ山姥が叫ぶ。ええ加減にしてほしい、と昔山男のホンネ、8時15分。崩落した土の斜面の上を通る、8時16分。そうだ、5年前はここを巻いて登り、ずいぶん遠回りをしたと思ったのだ。登りと下りでは同じ道でも感じ方がだいぶ違う。 とうとう樹林帯に入った。適当なところでカッパを脱ぎたい、8時22分。
Z字状の登山道を下った先には先程ぼんやりと見えた雪渓があった。ここで休憩しよう、8時28分。
この区間の花々