なだらかな登りだが、こんな小さなピークでも視界が遮られてしまった、7時37分。
1つ越えるとまた次の小さなピークが。向こうのピークに人がいる。
ピークに着くとここが天狗の頭(あたま)だった、8時48分。「頭」は「かしら」と読むところと「あたま」と読むところがある。先程いた人が休憩を終わってリュックを背負っていた。
ここから振り返って思い出した。5年前に天狗の大下りを登ってきた我々は、白馬鑓ヶ岳の手前に見える赤い肌の稜線直下に残雪を見つけた。あれが人に聞いていた天狗山荘前の雪田に違いない。そこまで行けば雪解けの冷たい水がいくらでも飲めるはずだ。天狗の頭からは見た目よりも長く歩いて天狗山荘にたどり着き、冷たい水をがぶ飲みしたのだった。
天狗の頭を越えるとまた大展望の縦走となる。槍穂高に雲がかかってきた。何時までそしてどの地点まで槍穂高を見ることができるだろうか、8時52分。
天狗の大下りまでこんなに距離があったのだろうかと思うくらい長い道のりだ。周囲の山々を眺めながら歩けることが励みだ。石が積み重なったところは、人の踏み跡が色が違っていることが多く、どこを通るのかわかりやすい。ここも登山道が茶色くなっている。
岩場のピークを越えたら、また先程と同じような道が続いていた。まさかこんななだらかな道が天狗の大下り?
いや、「ここより天狗の大下り」という札があった、9時28分。昨日の解説員が「天狗の大下りでは、片手のストックでは刺し誤ると落ちてしまうので、ストックは仕舞った方が良い」と言っていたので素直に従うことにする。
向こうの絶壁の白い道は天狗の大下りの後の不帰嶮(かえらずのけん)1峰だ。